唱歌『ふるさと』の「うさぎおいしかのやま~♪」を、「ウサギって食べるとやっぱりおいしいの?」と訊く与太郎笑い話は有名ですが、他にも現代では大人でも意味がよく分からない唱歌がたくさんあります。
『あかとんぼ』は名作ですが、あの「おわれてみたのはいつの日か」を「追われて見た」「追われてみた」だと思い込んでいる人もいます。もちろん、「背負われて」の意味で、子供を子守りのために背負っているのは貧しい家から口減らしのために売られてきた少女。その少女(ねえや)は15歳になって嫁に行ってしまい、背負われていた子供が寂しく想う……という内容です。
貴重な歴史資料とも言える歌ですが、その内容を分かった上で歌っている人がどれだけいるでしょうか。
とはいえ、今も歌い継がれている唱歌には、現代人が忘れてしまった、あるいは知らないで育った、古きよき日本の原風景ともいうべき世界があります。そうした日本の心や風景を、現代の言葉で新しい唱歌として作り、残せないだろうか、というのが、この「新唱歌」の出発点です。