入門編の段階では、全部ハ長調のメロディを使ってきました。とにかく1曲伴奏できるようにしよう、ということで、キーが高かろうが低かろうがお構いなしにCのスケールでやっていたわけですが、Cでは歌えない曲を歌えるように伴奏するために、移調を学びましょう。
今回はハ長調をト長調にしてみます。
C(ハ長調)の主要3和音はC、F、G(G7)でしたが、G(ト長調=記譜は#が1つ。FがF#になる)ではコードも5度上にずれるので、主要3和音はG、C、D(D7)になります。
D7は前回やりましたが、Dは初めて出てきました。これ、ウクレレだとちょっと難しいポジションかもしれません。ウクレレはギターより弦の間もフレットの間も狭いので、隣り合ったポジションに指が一列に並ぶ押さえ方は窮屈なんですね。
そこで、Dを使わず、D7だけで単調にならずに弾ける(ごまかす)方法というのも伝授しています。
ト長調の曲が弾けるようになると、伴奏の守備範囲が一気に広がります。しっかりマスターしましょう。
ちょいムズ話:
CだのFだのといったとき、実際には3つの意味があります。どの意味で使われているのかを区別しないと、勘違いや混乱の元になります。
- 音としてのC:単独の「音」として、一つの固有の音程を持つ音。音名
- コードとしてのC:Cの音をルート(基音)にして1度・長3度・5度(ド・ミ・ソ)で構成される和音。コード名
- 音階(調性)としてのC:「ハ長調」のこと。Cをルート(基音)にしたドレミファソラシドという音階が基本になっている「調」のこと
「そこはC#じゃなくてCの音でしょ」と言われたら(1)の意味(Cは単独の「音」)です。
「そこはCじゃなくてCメジャーセブンスのほうが合うよね」と言われたら(2)の意味(コード)です。
「Cじゃ高すぎて歌えないからGでやってよ」と言われたら(3)の調性(ハ長調)の意味です。
ちなみに「ドレミファ……」は本来「階名」といって、音階を表しますので、単独の音をさすときは「ド」ではなく「C」というべきです。
無駄話:
私は中学2年生のときに初めてギターを手にしましたが、多くの人がそうであるように、Fのコードが弾けずに苦労しました。そこで、Fを弾かずに済む方法として、Dのスケール(ニ長調)の曲をよくやりました。Dだと、主要3和音がD、G、A(A7)となるので、Fが弾けなくてもなんとかなるからです。
ウクレレでG(ト長調)の曲を弾く場合、ギターでD(ニ長調)の曲を弾くときと同じようなコードポジションになります。
ギターではAは難しくなかったですが、ウクレレは小さいので、同じポジションのDは、かなりきついですねえ。
Fが弾けずにギターを諦めた人がいっぱいいるように、Dが弾けずにウクレレを諦める人がいると悲しいので、今回はDを弾かないでもうまくごまかせる方法を考えてみました。